私のメイン機材の一つである「PLAUBEL Makina 67」。このカメラは、中判でありながら驚くほどコンパクトな蛇腹式カメラです。搭載されているNikkor 80mm F2.8レンズの描写力は、現代のレンズとは一線を画す、柔らかくも芯のある独特の雰囲気を持っています。

特にこのカメラで湘南の海を撮ると、その真価が発揮されるように感じます。光をたっぷりと含んだ波のきらめき、砂浜のしっとりとした質感、そして空の広いグラデーション。6x7cmという大きなフィルムが捉える情報量は圧倒的で、その場の空気感まで写し込んでくれるかのようです。

操作性は決して良いとは言えません。一枚撮るのにも手間と時間がかかります。しかし、そのプロセスこそが、一枚の写真と真剣に向き合う時間を与えてくれます。ファインダーを覗き、構図を決め、露出を測り、そしてシャッターを切る。その一連の流れが、私にとっては何よりの対話なのです。